言語聴覚療法(Speech Therapy : ST)
言語聴覚士:12名
(令和5年10月1日現在)
成人言語聴覚療法の訓練内容
脳卒中の後遺症などにより、言葉が不自由になった方に対し、症状にあわせた言語訓練を行っています。
また、食事が摂りにくい方に対しては摂食嚥下訓練、聞こえに問題がある方には補聴器装用指導も行っています。
1. 失語症に対する訓練
失語症は活字にすると、「語」を「失う」となってしまうため、「言葉を忘れてしまう」という印象を持ってしまいがちです。
しかし、実際は、主には脳出血、脳梗塞などの脳血管障害によって脳の言語機能の中枢が損傷されることにより、一旦獲得した言語機能(「聞く」「話す」といった音声に関わる機能、「読む」「書く」といった文字に関わる機能)が障害された状態をいいます。
当センターでは、認知神経心理学的に症状を分析し、訓練プログラムを立案、実施しています。
2. 構音障害に対する訓練
声が出にくい、発音が難しいといった症状にも様々な原因があります。したがって ”やみくもに” 頑張って声を出すといった練習がよい結果に結びつくはずがありません。
当センターでは、様々な側面から評価し、症状を分析することで、その方に最適と考えられる訓練を提供しています。
3. 嚥下機能に対する訓練
脳卒中の後遺症により、食べる機能に問題が生じる場合がありますが、症状もそれぞれ違います。そこで誤嚥を防止し、いかに安全に食事を摂ることができるかが、摂食・嚥下訓練の目的となります。
適切な評価の後、他のリハスタッフや病棟とも連携しながら訓練を進めます。
嚥下造影検査なども必要に応じて実施しています。
※嚥下造影検査(VF検査)
口の中に入った食物が咽頭を通過する様子は、外からでは観察できません。そこでレントゲン撮影装置を用いて、摂食嚥下機能を動的に捉えることが目的となります。
その結果から、安全な食物形態や食事姿勢、食べ方を検討します。
小児言語聴覚療法の訓練内容
1. ことばの遅れに対する訓練
発達の遅れなどにより、ことばの遅れのあるお子様に対し、運動を通して身体の操作から言語につなげる訓練を行っています。子どもは遊びを通して頭の中で考え、ことばの基礎を作り、人から聞いたことばをまねて声にします。ですから、声を出す前にしっかりと遊びの中で思考する場面を多く持つことが大切です。訓練ではしっかりと遊んで、しっかり考えてもらいます。
大型遊具:ジャングルジム、スイング(ブランコ2種類)、トンネル、壁面のクライミングホールド 他
知育玩具:ドレミマット、ジェンガ、マグネット魚釣り、手さぐり積み木 他
手さぐり積み木課題
2. 構音(発音)障害に対する訓練
ある特定の発音が難しいお子様に対し、発声・発語器官の機能向上や構音(発音)の訓練を行います。構音(発音)訓練では、誤り方が決まっていないと訓練は難しいです。不安定なまま発音を直そうとすると他の正しい音まで迷ってしまいます。また、口の動きがわからなくて困っている場合は、口の動きよりも体の動きから意識するように促す(ブランコに乗ったり、ジャングルジムに登ったりします)こともあります。
3. 摂食・嚥下障害に対する訓練
脳の障害や発達の遅れにより、食物が取り込みにくい、飲み込みにくいお子様にに対し、食べる・飲み込む訓練を行っています。食事とは本来、楽しい場面です。嫌がったり泣いたりする時は無理にはしません。でも、食べるための姿勢をとったり、呼吸を整えたり、訓練することはたくさんあります。
4. 難聴に対する訓練
聴こえに問題のあるお子様に対し、聴こえの訓練や補聴器のフィッティングを行っています。まずは聴力の確定を第一に発達レベルに合った聴力検査を行います。言語発達を考慮し、聴こえを補う必要があれば補聴器装用を開始します。聴こえのレベルによっては、手帳診断をすすめ、教育機関とも連携をとりながら聴能訓練を実施します。
5. 吃音に対する訓練
吃音は、まず正しい知識を持ち、周囲の環境を整えることが大切です。からかわれたり、まねをされたりすることなく、安心して話せる環境を作ることで、症状の悪化を防ぐとともに、楽な話し方の練習も行います。