言語聴覚療法(Speech Therapy : ST)
言語聴覚士:11名
(令和6年11月1日現在)
成人言語聴覚療法の訓練内容
脳卒中の後遺症などにより、言葉が不自由になった方に対し、症状にあわせた言語訓練を行っています。
また、食事が摂りにくい方に対しては摂食嚥下訓練を行っています。
1. 失語症に対する訓練
失語症は活字にすると、「語」を「失う」となってしまうため、「言葉を忘れてしまう」という印象を持ってしまいがちです。しかし、実際は、主には脳出血、脳梗塞などの脳血管障害によって脳の言語機能の中枢が損傷されることにより、一旦獲得した言語機能(「聞く」「話す」といった音声に関わる機能、「読む」「書く」といった文字に関わる機能)が障害された状態をいいます。
当センターでは、認知神経心理学的に症状を分析し、訓練プログラムを立案、実施しています。
当センターでは、認定言語聴覚士(失語・高次脳機能障害領域)が2名在籍しております。
2. 構音障害に対する訓練
声が出にくい、発音が難しいといった症状にも様々な原因があります。したがって ”やみくもに” 頑張って声を出すといった練習がよい結果に結びつくはずがありません。当センターでは、様々な側面から評価し、症状を分析することで、その方に最適と考えられる訓練を提供しています。
3. 嚥下機能に対する訓練
脳卒中の後遺症により、食べる機能に問題が生じる場合がありますが、症状もそれぞれ違います。そこで誤嚥を防止し、いかに安全に食事を摂ることができるかが、 摂食・嚥下訓練の目的となります。適切な評価の後、他のリハスタッフや病棟とも連携しながら訓練を進めます。
嚥下造影検査なども必要に応じて実施しています。
また当センターでは、摂食・嚥下の領域に特化した「日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士」を取得した言語聴覚士が在籍しております。
※嚥下造影検査(VF検査)
口の中に入った食物が咽頭を通過する様子は、外からでは観察できません。そこでレントゲン撮影装置を用いて、摂食嚥下機能を動的に捉えることが目的となります。
その結果から、安全な食物形態や食事姿勢、食べ方を検討します。
小児言語聴覚療法の訓練内容
1.構音(発音)障害に対する訓練
リハビリテーションセンターでは、特定の発音が難しいお子さんに対し、発声・発語器官(唇や舌など)の機能向上や構音(発音)訓練を行っています。
無理に発音を直そうとするとお子さんが混乱してしまうことがあり、そのような場合には発音の直接的な訓練ではなく、まずは正しい発音につながるような「体の動き」を促すような
間接的訓練を行うことがあります。そのため当センターのST訓練室にはブランコやロッククライミング、ジャングルジムなどの遊具が揃えてあります。机上での訓練を
実施することもありますが、まずは「楽しかった。また来たい!」と思ってもらえるような、お子さん一人ひとりに合った訓練を考えます。発音に関してお悩みがあればお気軽にご相談ください。
2.摂食・嚥下障害に対する訓練
脳の障害や発達の遅れにより、食物が取り込みにくい・飲み込みにくいお子さんに対し、食べる・飲み込む訓練を行っています。食事とは本来、楽しいコミュニケーションの時間です。子どもが食べることを楽しいと感じ、
保護者が食べさせることを楽しいと感じられるような場面であることが大切です。また、食事が楽しいと感じるには食べたい気持ち(意欲)が大切です。食べることを嫌がったり泣いたりするお子さんに対しては
無理に食べさせることはしません。無理に食べさせることで食事が嫌にならないためです。
訓練では、食べるための姿勢をとることや呼吸を整えること、口の動きに合った食物形態を助言するなど、それぞれのお子さんに合わせた支援を行います。
3.吃音に対する訓練
相談機関で子どもさんの吃音の相談をすると「様子を見ましょう」と言ってそのままになってしまうケースが多々あるようです。確かに幼児の吃音は自然治癒する割合が8割程度あり、そのままに しておいても大丈夫なケースもありますが、吃音症状が出だした時点では、吃音が症状が残るのか自然治癒するのかどちらになるかはわからないものです。吃音の症状が気になったらまずはご相談ください。
吃音はまず正しい知識を持ち、周囲の環境を整えることが大切です。からかわれたり真似をされたりすることなく安心して話せる環境を作ることで、症状の悪化を防ぐことにもつながります。 リハビリテーションセンターでは学校や園で吃音の理解をしてもらうための助言を行うと共に、力みがあったり、語頭がなかなか出なかったりするしんどい吃音症状に対しては 楽な話し方の練習もしています。
吃音は親の育て方が原因で発症することはないと言われていますが、多くの保護者の方が自分のせいで子どもが吃音になったのではないかと悩まれています。周囲に正しく理解をしてもらって、理不尽に 子どもや保護者が周りから責められることがないようにしたいものです。
リハビリテーションセンターでは、吃音の子どもを持つ保護者の会を年に2回(2月・7月または8月)開催しており、吃音の基本的な知識について勉強をしてから、保護者どうしの情報交換を行う場を設けています。
学校や園の先生に吃音のことを伝えるのは、なかなか難しいことでもありますので、保護者どうしで対策を情報交換することで、思わぬコツが見つかることがあり、皆さん「来て良かった」と言って帰られています。
夏には子ども同士の会も同時開催しており、楽しいレクリエーションの後、みんなで吃音のことを話すワークも行っています。仲間がたくさんいることを知ってもらい、困った時の対処法などを共有する目的があります。
これらの会に関しては開催時期が近づくと、HPで募集の案内をいたしますので、リハビリセンターに通っておられる方もそうでない方もぜひご参加ください。